実樹(29)167cm / 54kg
東京 萬天堂
東京都(出張性感マッサージ)
09/28 00:27
第51回『実樹の禁断賞状💮』
2025年9月27日。
セラピストも5年目ともなると、東京の街が透き通って見え、何かしら境地に達しているような気分になっていました。
街の喧騒も音階のように心地よく聴こえます。
電話越しの相手に怒鳴り散らしてるスーツの男の声は「ファ」で、駅の改札の前でエロがってるカップルの鳴らす音は「ファ#」です。
長い人はもっと息の長い業界ですが、僕にとっては(嘘だろ…?)って数字なので、ちょっと”かかっている”のかも知れません。
悟りぶいた結果、一人称が「ボク」から「ワタシ」に進化しそうな勢いで、今のところ進化過程の「ボシ」になっています。
この女風という界隈に没頭した先に、まさか”無我の境地”に近い領域が広がっているとは思ってもみませんでした。
ボシは”性快楽”という”原始的な力”に取り憑かれた皆様(僕の写メ日記を見つけてくれるような方)のことが大好きだし、ある意味”性愛”に惑わされ、捉われているような形になった自分と”バディ=同志”と思っているところがあります。
正直、自分がここまでの”精悍な心”を育て上げることは並大抵のことではありませんでした。
自分は『銀杏BOYZ』や『サンボマスター』といった”青春パンク”好きの青少年でした。
彼らは「大好きな子が援助交際をしている噂を聴いて、眠れなくなるほどの悲しみ」を優しく包んで歌ってくれたり、「あなたが人を裏切るなら、僕は誰かを殺してしまったさ」と、大切な人の汚れちまった思い出を掻き消すかのように叫んでいるのであります。
その声に共感し、心酔していた自分にとって、あなたがたのような[痴女・ビッチ・清楚系ビッチ・ムッツリスケベ女・異常な性的欲望がある女性]などは、恐ろしく、厄介な存在でした。
(もしも仮に大好きな子がビッチだったらどうしよう…)パンクの音楽が6分1秒間の間、その苦悩を掻き消してくれたとしても、現実はすぐに襲いかかってきます。
僕は方向感覚が悪いので、AirPodsをつけた状態で歩くと、左に傾き続けてしまうのです。
毎秒、掻き消すことは、できない。
率直に、夜職界隈の女の子に対しても、ただただ無垢に胸を痛めるばかりでした。
高校を中退した同級生が「風俗で働き始めたらしい」と噂で聞いた時は(何やってんだよ…)と憔悴しました。
中退していなければ自分も参加するはずだった卒業式に私服姿で現れたその子が、女の子の友達と談笑していたところを見かけて、「久しぶり!」と声をかけました。
すると、その子がポロポロと泣き出して、急いで校舎の影に隠れて、ハンカチを渡して「なんでだろう、なんでだろう」と言いながら涙を流すその子をじっと見つめたのが最後の姿でした。
成人してから知り合ったAV女優さんがいました。
非アダルトな時には、周囲に気配りができるただのアニメ好きの女の子でした。
お酒の席で、デリカシーのない友人が「これすごいの見つけた」と、その子が出演するかなり過激なAV作品をスマホで見せてきました。
僕は激怒して、彼が言われたら嫌がりそうな言葉を1番目から5番目くらいまで、罵声と共に浴びせました。
自分のぶんと威勢よく二千円札を置いて居酒屋を飛び出しました。
帰り道、直視してしまった画面の映像が頭にこびりついて、すごい虚しい気持ちになって(どうしてだよ…)と気を病みました。
嘘か真か、かの岡村靖幸が薬物に手を出した理由が「花を売る女性が多いことを憂いて」的なことだったと、耳に挟みましたが、僕は共感します。
お金がなかったから「異常な量のカルピスを摂取する」にとどまっていたものの、実家が太かったら、僕も危なかったです。
人を愛する気持ちも、人とのご縁も、コントロールできないものです。
いつか訪れるかも知れない性が招く混乱による”哀傷”に、ただただ怯えていました。
そういった中でムクムクと社会に芽生えた「女風」…女性専用の風俗。
その急速な育ち方はトトロの中盤の如しです。
新たな脅威だと思いました。
「好きな子が女風なんて使っていたら死ぬ」
素直にそんなことを思いました。
必然な出現であることは、わかっています。
日本では、歴史書に載るレベルで男性のための風俗が根付いています。
表立っては語られなくとも「陰間」という形で男娼文化も古くから存在していました(後天的に知る)。
現代のジェンダー格差は経済だけでなく”ルッキズム”にもあると考えます。
[魅力的な自分の自己実現]に切迫するように取り組む女性に対し、男性の他者から見た自身の魅力に対するこだわりは低く見受けられ、相対的に無頓着です。
女風の流行や普及はそういった社会的構造に対するカウンターカルチャーとして必然である。
頭ではわかっています、わかっているつもりなんですが…心が…体が…こう叫びました。
「もしも自分の大好きな子とか好きになりそうな子が女風を使っていたら…僕は嫌だ」
僕の中に巣食う青パン好きのてちが叫びました。
人の好奇心を誰かが止める権利はない。
そういった理念も持っています。
しかし、動揺を抑えきれん。
俺のこのキモチ。
都合のいい人間です。
街ですれ違う女性が”痴女”であったり”頂き(健全に)“してたり”女風使ってる”としたら「お!いいじゃん!百花繚乱!咲き狂え!混沌とした美しい世界の実現!僕らがいなければただの岩でしかない地球の上で花となれ!」なんて思えるものですが…。
自分の身近に…と考えると…頬肉を噛んでしまう。
口内炎ができてしまう。
自分が信じてきた世界の在り方や、尊いと抱いてきた理(ことわり)が、刃物で切り裂かれているような気持ちになってしまう。
情けないほどに、都合のよすぎる人間です。
払拭しなければいけない。
自分にとっての脅威は必ず潰さなければいけません。
さて。
そろそろあなたがたが忘れた頃だと思うんですが、僕は女風セラピストです。
忘れていたでしょう?
それも一応店舗内では最高位のマスターズランクを頂いております。
地下世界を深く深く潜った結果、東京FMのラジオに出演する、なんてこともありました。
よくわからないですよね。
僕にとって『女風』の世界で生きることは『戦争』でした。
性世界が招く混乱や幻滅、憂い、哀しみ、そういったものを撲滅する為に、僕は戦火に飛び込むような気持ちで『女風』を銃のように両腕で胸に抱え、戦場を駆け抜けました。
聞くところ、大抵のセラピストの方は、(本気で女性を癒したい)、(女性の支えになりたい)、そういった”献身的な心”で働いてるらしいです。
僕にはそういった献身的な心は微塵もありませんでした。
自分のためだけに生きました。
愛に対する自分の”希望”、この希望を砕くように襲いくる”性の招くネガティブな混乱や幻滅”、それに抵抗する為に僕は女風という武器で抵抗したのです。
自分がセラピストとしてランクを得たこと、ハイブランドのラブトイグッズをかき集めたこと、全国のラブホテルの口コミを長い時間かけて調べあげたこと、アブノーマルなフェチズムにも堂々と向き合えるように見解を深めたこと、男娼の歴史を起源から語れるまで知見を深めたこと、エロスとユーモアの融合を突き詰めようと試みたこと、日記もキャスもラジオもスキルもあれもこれもどれも、すべて自分のために努力しました。
僕が堂々と「自分のために頑張りました」と公言するのは、自分のための努力が最も信頼できる人の頑張りだと信じているからです。
僕は「誰かのために」とか「社会のために」とか言う人間よりも「自分のために」と物事に取り組む人間のほうが信頼できると思っています。
自分の生命を心身を血肉を捧げ、燃やしました。
勝手ながら、女風の世界で出会った皆様がたを”砲弾”にして、ガンガンに”性の招くネガティブな混乱や幻滅”に向けて砲撃したのです。
そして、それは、己自身の価値観に対する破壊でした。
僕は「女風」と書いて「廃人再生施設」とも読んでいます。
女風セラピストのトップランカーはそれぞれ種類違えど「異性に対する秀でた何かを持った人間が廃人化していて、予約という形で承認欲求を得て、プレイで全能感を得て、それらによってたまたま再生できた人種」だと思っています。
僕も完全に廃人化していたところを女風に救われたと思うのですが、あの腐り方は、戦争の中でしか再生し得なかった腐りであったと捉えています。
戦いました。
女風に没頭してしまいました。
僕はもう性倫理に対して清らかなことは何も言えなくなれたし、人間の裏切りやみっともなさを受け入れることができるようになりました。
今は、あなたがた”痴女・ビッチ・清楚系ビッチ・ムッツリスケベ女・異常な性的欲望がある女性”のことを、真っ直ぐに、落ち着いて、怯えずに、アシタカの如く曇りなき眼で、堂々と、見つめることができる。
そして、同じ方向を向いて、“光”を見つめることができる。
“性快楽という原始的な力”は『富や身分に左右されずに平等に近いものである』という素晴らしい特性を持っています。
僕らが見つめる光には、そういったポジティブな要素が眩く散らばっている綺麗な光だと思います。
高校を中退して風俗で働き始めた同級生の気持ちや、気配りのできるアニメ好きの女の子でしかないのに過激な作品に出演していたAV女優の心に対しても、自分なりの理解を見つけることができました。
人間の面白さ・美しさの基準の一つに「ぶっ壊れてる人間ほど、面白いし、美しい」というものがあると考えます。
彼女たちは「人間ぶっ壊れバトル」をやっていたんだと思う。
自分の中に芽生えた何かに抵抗するために、払拭する為に。
だとしたら、僕の女風は自分をぶっ壊す戦争と似ているかも知れません。
結婚やパートナーの形には様々なものがあると知ったし、セックスレスが招く深刻な事態も垣間見れたし、自分だけではなく性に対する苦悩は人それぞれに存在することも知れました。
フェチズムの奥深さも実感できたし、人それぞれあらゆるアプローチでエロスを迸らせる現実は、空想よりも豊かで面白かった。
“青パン好きの青少年”からは、遠のいた存在になった感覚もあり、なんだかそれが少年時代を裏切っているようなところも確実にあるので、寂しさを覚えることもあります。
でも突き抜けたおかげで”悲しい噂”や”汚れちまった過去”などに捉われずに、笑顔や涙を美しく思うことができる。
無垢に純粋に人を見つめることってなかなか難しいです。
僕は自分の潔癖や嫌悪感はノイズでしかないと思う。
そういったものは払拭した方が、人生はより豊かになるし、世界が美しく見えると思う。
自分の都合でしかないエゴはないほうが、いい景色に辿り着けると、僕はそう思っています。
そして、日本の現社会の成り立ちから顧みれば『女風』というものは『反権威や反体制的な文化』であり、本来の”パンク”の精神的な定義に当たると考えます。
「社会に媚びず、己の衝動をむき出しにする文化と精神」がパンクだと捉えますが、どうでしょう?
その定義の中に女風を落とし込んでみても違和感がないと思いませんか?
いつまで経っても不完全なこの界隈には、いずれ美学が生まれるのではないかと考えます。
僕は自分の無垢な初期衝動と、女風を弾薬にした戦争の戦利品である純粋な倫理眼、この2つを大切にして、また新しく世界と向き合っていきたいと思います。
そして、見つめたり、眺めるだけではなく、日本のエロスカルチャーの景観の1つになれたことは誇りに思います。
小さな小さな一粒ですが、より派手に鮮やかに発光したい。
もっともっと人間やめるので、ぜひ期待しててください。
エブリバディ!
ご拝読、誠にありがとう!
実樹
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